會田 幸男

會田 幸男(あいだ・ゆきお)

スタートアップ事業部 シードアーリーユニット シニアマネージャー(2025年4月現在)

【プロフィール】

東京都出身。大手金融機関を経て、2016年7月入社。前職在籍時にMBAを取得。ファイナンス領域における確かな経験に加え、経営大学院在籍時に培った知識を併せ持つ。8年間にわたってアクセラレーションプログラムにおけるアクセラレーターおよびマネジメント経験を積み上げた実力者。

【経歴】

元高校球児。怪我をきっかけにサーフィンを始め、現在まで20以上継続している。サーフィンを選んだ理由は、「一筋縄ではいかないから」。週末は早朝から海に出かけ、大会に向けて技を磨き、冬にはスノーサーフィンにも出かける徹底ぶり。最近は車にはまっている(クロカン系)。

前職ではどのような業務に携わっていましたか

「金融機関でIPO支援や新規事業を行っていました」

大手金融機関で、業種を問わず上場を目指しているミドル・レイター期の企業に対してIPOに向けた支援を行っていました。親類が自営業を営んでいたのですが、資金面での困難に直面していたことを知り、資金が原因で挑戦をあきらめてしまう人を支えたいと思ったことが、金融業界に入ったきっかけでした。例えば、従業員にストックオプションを発行するタイミング、社員へのインセンティブ設計。こういった支援をしていました。また、住宅ローンなどの新規事業開発にも携わっていた時期がありました。その際に銀行の枠にとどまらない支援を行いたいという想いからMBAの取得に至りました。

スタートアップの支援に関心を持ったきっかけは何ですか

「常に理想の未来に目を向けている、経営者を支援したいと思ったからです」

当時の私のお客さんは企業の財務部門でした。彼らの支援をしている中で気が付いたことは、上場直前期のCFO(最高財務責任者)とCEO(最高経営責任者)が考えていることは似て非なるものがあるということです。CFOは自分の役割として、目の前の上場に向かって全力を尽くしている。一方で、CEOは「上場は一つの通過点である」志向がCFOと比較し、相対的に強い。その先でどんな世界観を作り出していきたいか、プロダクトをどのように広めていきたいかといったように、常に未来を意識していました。その姿を見て、「CEOは面白いな」「もっと彼らとの議論の中で価値を発揮できる自分になりたいな」と思ったことがきっかけでした。

支援の際に意識していることやポリシーはありますか

「コンサルタントから、支援家にならなければいけないと思っています」

前提として、その事業について誰よりも理解をし、愛をもって信じているのは起業家だと思っています。信じているからこそ、時折、視野が狭くなってしまうことがあります。このため、我々が培ってきた知見を活かし、第三者的に見て彼らが見落としている論点を引き出し、アクションに落としこむことを意識しています。
しかし、論点を引き出すだけだとコンサルタントで終わってしまいます。コンサルタントと支援家の差は、それを実際に形にするまで伴走すること。例えば、お客さんを得たり、協業パートナーを探索したり、資金調達をするなどですね。例えば資金調達は、実際にキャッシュが口座に振り込まれるまでが一番難しいので、本当に着金するところまでやりきることをポリシーとしています。

そのポリシーはどのような経験を通して培われたのですか。

「起業家や支援家の社会に対する役割を考え直した時期がありました」

日々の積み重ねもありますが、4年ほど前、起業家を支援することは世の中に対してどういった価値提供につながるのかを考えたことがありました。そのときに、結局スタートアップを支援することは、次の世代の子供や孫が誇れるような未来を創ることだと思ったんですよね。なぜならば僕らが支援したところで、顧客が増えたり資金調達できたりすることはあるけれど、彼らの製品が世間一般に届くのは5~15年先の話で、来年の社会が大きく変わることは少ないんです。そう考えたことがきっかけで、スタートアップの役割、僕の役割、僕がマネジメントするチームの役割を考え直すきっかけになりました。

ご自身にとって、今後の夢や目標はありますか

「自分が培った支援についてのスキルを東京以外の地域にも広げていきたいと考えています

現状、地方もいろいろなスタートアップ支援のニーズが増えていますが、スタートアップの9割は東京に集中しています。僕自身、8年間ログラムを設計して、個別でも支援しながら、プロジェクトを推進していますが、そういった経験やその中での失敗を数多くしてきた支援家は少ないと考えています。自分の経験の中にストックされている成功と失敗の事例をもとに、地方や海外などエリアを問わずにスタートアップエコシステムを広げて、全国のスタートアップに還元していくことが使命だと思っています。危機感を持って取り組まないといけないことは、政府のスタートアップ育成5カ年計画が終わったときに日本経済にどれほどの良い影響を与えることができたのかという点です。成果を創出し、これまでのスタートアップやイノベーションへの支援、動きはより加速させていくことが我々DTVSの責務の一つであると考えています。