原 諒

原 諒(はら・りょう)

スタートアップ事業部シードアーリーユニット シニアコンサルタント(2025年4月現在)

【プロフィール】

千葉県出身。大手システムインテグレーター、コンサルティングファームを経て2023年入社。IT領域にお
ける幅広い知見を持ち合わせながら、産業領域に依存しない事業開発など、産学官金それぞれの個別支援力を武器とする。

【経歴】

趣味はサッカー。小学生の低学年時には地元のクラブに所属するともに、海外でも著名な師範がが道場主を務める空手教室にも通い二足の草鞋を履いていた。埼玉県の強化選手にも選ばれたことがあり、本人曰く「サッカーよりも空手のほうが才能があったのではないか」。引っ越し先でも道場を探したが、適した師範がなかなか見つからず断念、それが今でも心残りだという。サッカーは大学まで続け社会人ではフットサルチームに入ったが、足首を怪我して止め、現在はジムやジョギングで体を鍛えている。

起業家支援に関心を抱くようになったきっかけは何ですか

「コンサルタントの仕事に携わり、産業を横断する形で挑戦者を支援したいという思いが強まったからです」

当初より当事者意識が高く、自らのビジョンをコアに新たな挑戦をする方を支援できる人材になりたいと思いキャリア形成を続けており、起業家や大企業の新規事業部門の方を支援することが、モチベーションの源泉にありました。ただ、基本的なサービス開発・運用を経験せずに経営戦略の視点から関与すると、実現性の低い絵に描いた餅のような支援となることを危惧しました。こういった背景から、まずは当時ニーズが高かったシステム開発にSIerとして関与させていただきました。その後、徐々にサービス開発前の要件定義や構想策定まで支援対象の課題を大きくしたことで、各経営分野における質の高い支援が再現できるようになり、満を持して現在に至ります。

どういったプロジェクトに関与してきましたか

「東京・多摩地域でエコシステムの形成を目指す事業です」

DTVSでは産学官それぞれの個別支援を経験しており、特にスタートアップ支援については地域イノベーションを軸にしたエコシステムの仕組みづくりの中で、伴走支援による成長支援を担っております。一例として、東京・多摩地域における東京・多摩地域でイノベーションを持続的に創出するエコシステムの形成を目指す、多摩イノベーションエコシステム促進事業です。目的の一つが同地域でアドバルーンとなるような成功事例を創出すること。そのため1年間にわたってスタートアップと伴走し、特に実証試験での支援に力を入れました。大学の案件では起業を希望する教授をサポート。マーケットインの観点が十分ではなく支援ニーズがあったため、「研究成果の優位性を活かせるプロジェクトはこれですね」といった具合に事業案を絞り込んでいきました。大学を支援するのは初めてで、私自身も成長したと実感しています。

スタートアップ支援で重要なのは何でしょう

「『ここだけしかできない』ではなく『こっちもできる』というスタンスです」

スタートアップ支援はゼロからイチを産み出す仕事なので難易度が上がります。「ここだけしかできません」ではなくて「こっちもできる」。そういったスタンスが不可欠となります。例えば多摩のプロジェクトの場合、産業領域は定められておらず、自分がよく知らない分野でも支援しなければならない。大学の案件もそうでした。研究対象のことはよく分からないし、対象となるシーズの専門知識も不足している。そんな状況で私のバリューが発揮できた原動力は、総合知だと思っています。経歴だけを見ると「ソフト屋」といった印象がありますが、実は自動車をはじめものづくりというか、ハードの世界と深くかかわっている。その部分は強みだと認識しています。

どういったときに、自分の成長を実感しましたか

「短期間で専門性の高いナレッジおよび、ご支援を提供し、信頼を獲得した時です」

まだまだ発展途上だと思っていますが、打席に立ち続けたからこそ醸成されたと自負しています。特に印象に残っているのは、大手建設会社のカーボンニュートラル戦略の策定です。全社的なプロジェクトで顧客の期待値が極めて高く、意思決定の合意を得るまでの段階が多かったというのが理由です。戦略を策定する対象領域・産業について、当初は専門的知見が不足していましたが、現行プロセスの炭素削減に限らず、ネガティブエミッション(温室効果ガスの実質的な除去)までを含めたすべての施策を分解し、各論点の意思決定に求められる情報を専門書やヒアリングを通じ、短期間で収集・分析したことにより高い品質で意思決定の支援が実現できたと考えています。このような経験を通じ、知見が不足する業界・分野においても、支援プロセスを確立したことが自身の大きな成長に寄与したと感じています。

起業家にはどのように接していますか

「『こういったところをやりたいんだ』といった熱を持つ部分については、ねじ曲げないように気を付けています」

起業家は自ら定めたビジョンに向けて、膨大な時間・お金を投下しています。DTVSはスタートアップに寄り添い目指すべき姿を実現させる戦略家ですが、「こういったところをやりたいんだ」といった熱を持つ部分については触らず、血肉が通うように設計する。自動車にたとえるとエンジンの部分は一切触らず、車体部をきれいに作ってあげることで、高性能マシンを完成させるようなことを強く意識しています。

今後の目標について

「起業家のビジョンが達成するような仕組みづくりに携わりたい」

エコシステムの形成そのものを政策的に実行できるような地方案件に携わらなければ、自分自身のキャリアアップを図るうえで次のステップに進めないと自覚しています。ただ、私自身は「こういった世界を作りたい」といったビジョンを明確に定めているわけではありません。プレイヤーではなく各起業家のビジョンがうまく成就することに満足感を覚えるタイプの人間です。その仕組みづくりに取り組んでいきたいですね。