
小山 幸恵(こやま・ゆきえ)
スタートアップ事業部 シードアーリーユニット シニアコンサルタント(2025年4月現在)
【プロフィール】
兵庫県出身。製薬会社とシンクタンクでの経験を経て、2023年6月入社。前職までの経験を武器に、フェムテック・へルスケア・グローバル領域での起業家支援を得意とする。特に女性起業家支援実績も多数あり。
【経歴】
大学では薬学を専攻し、マレーシアとロンドンへの留学も経験。スペイン人のパートナーを持ち、週末は海外の友人を自宅に招いたホームパーティを開催することもしばしば。パートナーのご実家へ伺う目的も兼ねて、今でも年に一回はスペインへ渡航する。そのため鞄の中にはスペイン語の単語帳が常備されており、電車の中での研鑽も怠らない。最近は真っ白なミニチュアシュナウザーを家族の一員として迎え入れたそうだ。
DTVSに至るまでのキャリアについて教えてください。
ヘルスケア・フェムテック業界におけるイノベーション領域に携わっていました。
薬学部を卒業後、大手製薬会社へ就職、MR(医薬情報担当者)として4年間ほど働いていましたが、経営や戦略の分野に興味を持ち、グロービス経営大学院で学びながらシンクタンクに転職しました。そこでは、英語を話せたこともあったので、グローバルヘルス領域のプロジェクトを担当し、新規事業開発としてフェムテック領域のオープンイノベーションにも携わりました。この経験をきっかけにフェムテック領域におけるイノベーションの専門性を高めたいと思い、DTVSに入社した次第です。最初は大企業の新規事業立案支援を主に担当していたのですが、DTVSの個性ともいえるタートアップ支援の領域に携わった際に、スタートアップの情熱や個性に感銘を受けたといいますか魅力を感じ、現在はフェムテックおよびヘルスケア領域のスタートアップ支援を専門に担当しています。
現在、どのような支援活動を行っているのでしょうか
フェムテック領域の社会実装支援や、女性起業家の海外進出支援等、多岐にわたる支援を行っています
前提として、私の役割はスタートアップの成長を多方面から支援することです。現在は、アクセラレーションプログラムの運営や、実証実験の設計・推進、大企業との連携支援などを行っています。具体的には、起業家が自社の技術やサービスを市場で検証できるよう、実証実験の場を提供し、資金調達のサポートも行います。例えば、東京都の「社会課題解決型プロジェクト」では、最大1000万円の支援金を活用しながら、ヘルスケアや環境技術などの分野でスタートアップが成長できる環境を整えています。また、経済産業省の起業家海外派遣プログラム「J-StarX」では、海外展開を視野に入れている起業家に向けて、シリコンバレーなどの海外アクセラレーションプログラムを紹介し、現地のメンターや投資家とのネットワーク構築をサポートしています。日本市場だけでなく、グローバルに事業を広げるための道筋を示すことも、私の支援の一環です。
起業家支援において意識していることはなんでしょう
起業家支援は総合格闘技のようなものだと捉え、起業家のメンタルケアまで意識しています。
スタートアップ支援は総合格闘技のようなものです。事業戦略の構築、資金調達、人材採用、パートナーシップ構築など、起業家が直面する課題は多岐にわたります。そのため、支援者には幅広い知識と経験が求められると思っています。特に、女性起業家を支援する際には、背中を推すということを意識しています。男性起業家はリスクを恐れず挑戦する傾向がありますが、女性起業家は慎重で堅実なビジネスを描く方が多い印象です。もちろんそれが悪いわけではないのですが、支援の中では必要に応じて、大きな絵を描くことや、時には大胆な決断をすることを後押しすることを大切にしています。そのためメンタル面でのサポートも重視しています。また、起業家が直面する答えのない課題に対して、外部から多角的な視点を提供することも支援者の役割です。私はシンクタンクや製薬会社での経験を活かし、各ステージの起業家に適したアドバイスを提供するようにしています。
これまでの支援で印象に残っているケースはありますか?
防衛関連のドローン技術を持ったスタートアップの事業戦略支援や、女性起業家の海外進出支援です。
最近支援したスタートアップの中に、防衛関連のドローン技術を開発するスタートアップ企業がありました。当初は防衛省向けの開発が中心でしたが、事業の持続可能性を高めるために民間市場への展開を提案しました。例えば、高速道路の点検や災害時のインフラチェックなど、新たな用途を見出すことで、大手高速道路建設会社や大手電力会社 といったパートナーを獲得できました。このように、技術の新たな活用方法を提案し、事業の成長を後押しすることが、私の役割だと考えています。また、先ほども例に挙げたような海外展開に不安を感じていた女性起業家の支援も印象的でした。彼女は、素晴らしい事業を展開されていましたが、英語が苦手なことを理由に海外進出を躊躇していました。そこでJ-StarXの女性起業家コースの中で、シリコンバレーへ渡航するプログラムに参加することによっていただくことで 、自信をつけ、英語でVCに対してピッチを行い、海外での資金調達に向けて交渉を行っています大手海外企業との提携 に成功しました。女性起業家の背中を押すことメンタル面に対する サポートが、起業家の成長に大きく寄与することを実感したケースでした。