
間宮 英明(まみや・ひであき)
スタートアップ事業部 グローバルユニット シニアコンサルタント(2025年4月現在)
【プロフィール】
新卒でDTVSに入社し、一貫して、日本企業による海外事業展開支援に従事。スタートアップの事業領域の市場分析、海外展開に係る戦略立案、資金調達支援等を提供する。
【経歴】
海外を主戦場としているため高度な英会話力を必要とするが、入社当時はほとんど話せなかった。入社後6日間、1年間にわたって英会話スクールに通う。「どうしても第二のトヨタを生み出したい。英語が話せないだけでチャンスすら逃すのは許せない」。そんな思いが原動力となり、英会話力は大幅に上達した。小中学時代は野球少年だったが現在はサーフィンにはまっており、週末は千葉・九十九里浜などに出没し、心身のリフレッシュに努めている。人生のテーマは大冒険。
どのようなスタートアップを支援していますか
「グローバルで社会課題を解決し、事業を拡大するスタートアップです」
支援先の1社が、物流領域でドローン運航サービスを提供しているエアロネクストで、台はモンゴルです。首都ウランバートルの人口は、人口増が続いている福岡市を9万人ほど上回る約174万人。都市設計時の想定を大きく上回る人口集中により自動車渋滞が深刻化しており、歩けば15分で到着する場所まで2時間を要するケースも珍しくありません。これに伴い、問題となっているのが輸血用血液パックの輸送遅延です。看護師が往復数時間をかけて取りに行くこともあり、患者の命にかかわってくるからです。エアロネクストはこうした社会課題に対して、ドローンビジネスによる解決策を提示しています。2年連続で外務省の開発協力白書にも掲載されており、日本、およびモンゴルで愛されているスタートアップです。約2年間にわたって支援させていただいており、2025年4月からは新たにご一緒できる機会に恵まれました。私自身はまだまだ、成長途中ですが、事業開発と財務面の支援を信頼いただき、一緒に世界中でビジネスができることを大変うれしく思っています。特に海外事業責任者の川ノ上さん、取締役の唐尾さんには日々いろいろなことを学ばせてもらっています。最高のパートナーです。
モンゴル以外では、どういった国で活躍していますか
「ケニアでは水領域の社会課題解決、事業開発に携わっています」
アフリカのケニアでは、SORA Technology(ソラテクノロジー)とご一緒しています。現地はエルニーニョ現象に伴って洪水が頻発しており、人命に直結するコレラなどの水系感染症への対策が喫緊の課題となっています。SORA Technologyは気候情報や患者の診療情報などに基づきAIを活用した解析や対策提案を行うソリューションを提供しています。私は事業開発という観点から、コレラなどの水系感染症だけはなく、生活用水や農業・業用水も含めたケニアにおける水市場への参入を見据えて、国際ドナーや大企業などとのソリューション導入にむけた交渉を支援しています。アフリカの課題は特定セクターが介入するだけでは解決できません。SORA Technology のソリューションがすべてのプレイヤーの取り組みを統合し、真に課題を解決するマルチプラットフォームになっていくことを目指します。Vice CEOの梅田さんとは現地でのフィールドワーク、パートナーのロジックに合わせた提案、ソリューションの開発で一緒させていただいています。年齢も近く、技術とビジネス両面から事業を推進する姿をとても尊敬しています。
ソーシャルビジネスに関心を抱いたきっかけは何ですか
「大学時代にムハマド・ユヌス氏のグラミン銀行での取り組みに出会ったことです」
大学の経済学部時代、長期インターンで勤めていたスタートアップの幹部が、バングラデシュでソーシャルビジネスに携わっていました。一緒に仕事をしていたのが、ムハマド・ユヌス氏。貧困層に対する自立支援活動が認められ2006年にノーベル平和賞を受賞した、バングラデシュ出身の経済学者です。行動経済学に興味を持ち勉強している中で、ユヌス氏のグラミン銀行の取り組みを知っていたこともあり、ソーシャルビジネスに対する関心が一気に高まりました。社会が抱える課題に対してビジネスの手法からアプローチしてウィン・ウィンの関係を作り出し、回していく。その部分に美しさを感じたのです。
日本のスタートアップとどのような海外展開を行っていきたいですか
「マクロの大きな流れを読み、ミクロの価値提供を緻密に進める仕事をご一緒したいです」
現在の資本主義は、各国の思惑を反映した絶妙なバランスで維持されています。そのような時代にビジネスを行うには、地政学や社会価値観などのマクロの観点と、ソリューションの提供先である顧客のゴールや課題といったミクロの観点について、双方から考えることが重要です。私が介在することで、起業時の想定を超えるインパクトを創造する事業を生み出していきたいです。
私は第二のトヨタ自動車を輩出したいと本気で思っています。もちろん私もチャレンジします。アジアやアフリカ、ヨーロッパなどいろいろな国に行っていますが、どんな地域でもトヨタ車が走っている。これだけ愛され、世界中のインフラを日本企業が担っていることに感動しています。
スタートアップ支援のさらなる強化に向けた間宮さんの課題は何でしょう
「個別の取り組みが相乗効果を生み出し、自然と売り上げが伸びる仕組みを作るにはまだまだ経験が足りていません」
トヨタは自動車の販売や製造だけでなく、周辺の自動車保険や部品、中古車の二次流通も含めた産業を構築してきました。周りのステークホルダーを巻き込み、相乗効果で自然と売り上げが伸びる仕組みに美しさすら感じます。
私自身、2024年から案件開拓を行い、推進の責任を負う案件も増えてきました。常に挑戦を尊重してくれるDTVSには心から感謝しています。2025年はDTVSに収益面で貢献しながら、スタートアップへの価値提供を最大化することで、ともに成長する持続的な仕組みづくりにチャレンジしています。これからもいろいろなスタートアップと事業を進めインパクトを創造し、これからの資本主義の行く先を形作っていきたいと考えています。